会議中、急に世界がふわっとした
あれは、アメリカ赴任から半年が過ぎた頃のことだ。
現地チームとのオンライン会議で、僕は資料を画面共有しながら話していた。
突然、頭がぼーっとする感覚が来た。
言葉が出てこない。画面の文字がぼやける。
立っているのに、足元がふわふわするような、あのめまいに似た感覚。
「HIRO、大丈夫か?」と部下に声をかけられて、我に返った。
「ちょっと回線が悪くて」と誤魔化したけれど、
本当は、自分の頭が完全に止まっていた。
健康診断の結果は「異常なし」。
耳鼻科でもめまいの原因は見つからない。
「ストレスでしょう」と言われて、終わり。
そのたびに、深く落ち込んだ。
「じゃあ、この頭がぼーっとする感覚は、一体何なんだ?」
結論を先に言います——僕は変われました
今の僕は、あの頃とは別人のように頭が動く。
英語でのプレゼンも、長い会議も、以前ほど消耗しなくなった。
めまいのような感覚も、ほぼなくなった。
気合いでも、根性でも、特効薬でもない。
食事・睡眠・栄養・血糖値コントロールを
少しずつ、無理なく組み合わせて、約2〜3ヶ月かけて回復した。
それだけだ。
かつての僕と同じ悩みを持つあなたに、
回り道させたくなくて、この記事を書いている。
コーヒー6杯でも、頭がぼーっとする日々
日本にいた頃から、頭の重さはあった。
30代後半に差し掛かった頃から、
「昔より頭の回転が遅い」と感じることが増えてきた。
対策はただ一つ——コーヒーを飲む。
朝2杯、ランチ後1杯、午後に1杯……
気づけば1日6杯近く飲んでいる日もあった。
それでも頭がぼーっとするし、めまいに似たふわふわ感が続く。
夜になっても頭が完全にオフにならない。
睡眠が浅い。翌朝また頭が重い。
その繰り返しだった。
アメリカ赴任後は、それがさらにひどくなった。
時差、環境の変化、英語でのコミュニケーションのストレス。
孤独感も加わって、頭のモヤは1年中晴れなかった。
子どもの教育のために受け入れた赴任なのに、
肝心の自分のパフォーマンスがガタガタで、
情けなくて、悔しくて。
何度も心が折れそうになった。
「異常なし」の罠——原因は血液検査の外にあった
転機は、アメリカで精密栄養学の考え方に出会ったことだ。
個人の血液データや食事記録をもとに、
「その人の体に今何が足りないか」を特定するアプローチ。
日本の健康診断で「異常なし」でも、
脳が正常に動くために必要な栄養素が
じわじわ枯渇しているケースは、じつはとても多い。
それを知ったとき、頭がぼーっとする理由がやっと腑に落ちた。
僕の場合、食事記録をつけてみると、
魚をほとんど食べていない、
マグネシウムが圧倒的に少ない、
血糖値が食後に急上昇・急降下している、
という3つのパターンが浮かび上がってきた。
エンジニアの仕事柄、僕は仮説→検証→改善が好きだ。
「よし、ここから一つずつ潰していこう」と、
ようやく前向きな気持ちになれた瞬間だった。
なぜ頭がぼーっとするのか——3つの科学的な理由
少し、脳と栄養の関係を噛み砕いて説明する。
①血糖値の乱高下——脳のエネルギー不足
脳は体重の約2%しかないのに、全体のエネルギーの約20%を消費する。
ご飯やパンを食べると血糖値が急上昇し、その後インスリンが過剰に出て急降下する。
このとき脳はエネルギー不足に陥り、頭がぼーっとする・ふわふわする感覚が出やすくなる。
血糖値スパイクと認知機能の関係についても、NIH(米国立衛生研究所)の研究で報告されている。
②オメガ3不足——脳の膜が固くなる
脳の約60%は脂質でできている。
その中でDHA(オメガ3脂肪酸)は特に重要で、
神経細胞の膜を柔らかく保ち、情報伝達をスムーズにする働きがある。
Frontiers in Neuroscience誌に掲載された研究では、
オメガ3の不足が脳の炎症や認知機能の低下と関連していることが示されている。
魚をあまり食べない現代人は、かなりのリスクを抱えている。
③マグネシウム不足——神経が過剰興奮する
マグネシウムは「神経の鎮静剤」とも呼ばれる。
不足すると神経が興奮しやすくなり、
めまい・頭のふわつき・睡眠の浅さ・集中力の低下につながる。
Nutrients誌の研究によると、
現代人の約70%がマグネシウムの推奨量を摂れていないとされている。
しかも、ストレスや過剰なカフェインはマグネシウムの消耗を加速させる。
コーヒーで誤魔化すほど悪化するという、皮肉な構造だ。
僕が実際にやった5つのステップ
「何から始めればいいかわからない」という人に、
僕が実際に試して手応えを感じた順番を伝える。
完璧にやろうとしなくていい。
一つずつ、できるところから始めればいい。
ステップ1|まず睡眠を先に整える
「栄養より先に睡眠」が僕の結論だ。
寝不足のままでは、どんな栄養を入れても回収効率が下がる。
寝る1時間前にスマホをオフ、部屋を暗くするだけでも変わる。
ステップ2|食事の「順番」を変える
主食(ご飯・パン)を最後に食べる「ベジファースト」を取り入れた。
野菜→たんぱく質→炭水化物の順にするだけで、
血糖値の上がり方がゆるやかになり、食後のぼーっとした感覚が減る。
ステップ3|週3回、青魚を意識する
サバ缶・いわし缶は最強のコスパ食材だ。
DHAとEPAが豊富で、脳の炎症を抑え、頭のモヤが晴れやすくなる。
忙しい日はサバ缶+納豆+ご飯でも十分だった。
ステップ4|オメガ3サプリを取り入れる
食事だけでは補いきれない分は、サプリで現実的に対処した。
DHA・EPAを含むオメガ3サプリを毎日の習慣にして、
1〜2ヶ月で、頭がぼーっとする頻度が明らかに減っていった。
ステップ5|マグネシウムを夜に補う
寝る前にマグネシウムサプリを取り入れたら、睡眠の質が上がり、翌朝の頭の重さが変わってきた。
食品ではナッツ・ほうれん草・豆腐・バナナなどに含まれている。
毎日少しずつ意識して摂るだけで、積み重なると大きな差になる。
この5つを同時にやろうとしなくていい。
一つ試して、2週間続けて、体の変化を観察する。
エンジニア的に言えば、変数は一つずつ変えるのが鉄則だ。
2ヶ月後——Apple Watchが教えてくれた変化
Apple WatchでHRV(心拍変動)を毎朝モニタリングしていると、
栄養状態が整ってきた頃から数値が安定し始めた。
HRVは自律神経のバランスの指標で、
数値が高いほど脳と体が回復できている状態のサインだ。
「頭がぼーっとする日」が減ってきたのは約1ヶ月後。
めまいに似たふわふわ感がほぼなくなったのは2ヶ月後くらいだった。
劇的な変化じゃない。
ただ「あれ、なんか今日調子いいな」という日が増えていく。
その感覚が積み重なって、気づいたら別人になっていた。
銀の弾丸はない。
一つの食品や一つのサプリで劇的に変わる、なんてことはなかった。
食事・睡眠・栄養・血糖値コントロールを
複合的に、無理なく、続けたこと。
それが全てだったと思っている。
あの頃の自分へ——そして、今の君へ
会議で頭が真っ白になって、部下に心配をかけたあの日の自分に、
今の僕が言えることがあるとしたら——
「コーヒーを増やしても、意志力を鍛えても、解決しないよ。
脳が必要としている栄養を、ちゃんと届けてあげな。
体は正直だから、ちゃんと答えてくれるよ。」
頭がぼーっとするのは、怠けているせいじゃない。
めまいに似たふわふわ感は、気の持ちようじゃない。
体が「何かが足りない」と送っているサインだ。
そのサインを無視してカフェインで誤魔化し続けると、
僕みたいに会議で止まることになる。
でも大丈夫。
僕が変われたんだから、あなたも絶対に変われる。
一気に変えようとしなくていい。
今日、一つだけ試してみてほしい。
それが、3ヶ月後の自分を変える最初の一歩になる。
なんとかなる。
本当に。
睡眠から整えたい方へ
頭のモヤと睡眠は深くつながっています。寝ても疲れが取れない、夜中に目が覚める、朝起きてもスッキリしない——こうした悩みがあるなら、まず睡眠を整えるのが近道です。
僕は別サイト「スリープハック by HIRO」で、ストレスによる不眠と自律神経の整え方を、栄養学と睡眠科学の観点から発信しています。睡眠の質を上げたい方は、合わせて読んでみてください。
同じ悩みを抱えているあなたへ
「頭がぼーっとする・めまいが続く・でも病院では異常なしと言われた」——
そんな状況で途方に暮れていないか?
僕も全く同じだった。
精密栄養学の視点から、あなたの食事・睡眠・血糖値・生活習慣を一緒に整理して、
「今の状態に合った、無理なく続けられる改善の形」を一緒に考える。
気合いや根性じゃなく、科学的なアプローチで、あなたの頭を取り戻しに行こう。


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